僕は「ブリジットジョーンズの日記」が好きです。原作ももちろん面白いのですが、レネー・ゼルウィガー主演の映画版は非常に面白い。ブリジットのキャラクターがよく描かれているし、音楽もいい。ヒュー・グラントはいつも通りしょうもないイケメンを演じているし、コリン・ファースはエロい。好き。クライマックスのシーンはロマンチックなんだけど完全にコメディでもあって、ラブコメのひとつの完成形のように思います。
さて、そんな「ブリジットジョーンズの日記」において、とりわけ印象的なのは傷心のブリジットにマークが気持ちを打ち明ける次の台詞。
"I like you very much just as you are"
(大好きだ、ありのままの君のことが)
マーク・ダーシー
うむ。僕も言われたいよ、コリン・ファースに。この「ありのままの」というのはひとつのキーワードになっていて、劇中で何度も繰り返されます。太っていても、タバコやアルコールがやめられなくとも、仕事でミスってへこんだり、すぐに余計なことを口走ってしまうっかり屋さんなところも...全部受け止めて君のことが好きだと。うむ。さてはお前、仏だな?
今日は別にマークの尊さについて語りたいわけではないのです。ありのままの自分なんて恥ずかしくて世間様にお披露目できたもんじゃないよな、ということ。 出会いの場において、ありのままの自分をお見せすればすぐさま相手が逃げて行ってしまうことでしょう。そんなのやだ。相手がイケメンであればなおさら、自分を偽ってでもお近づきになりたいと願うこの気持ち、だれが責められようか。
僕の場合、積極的に嘘をつくことはございません。流石にそれはバレたときに気まず過ぎますので。でも敢えては語らない、ということは良くあるんですよね。1つは仕事。研究職なんてものをやっていると、まあなんというか「頭いいんだね~」なんてことも言われたりするのです。でも世の中、肉体と知性というものはしばしば対立軸で語られることが多く、「頭いいんだね~」はゲイとの恋愛だとか一晩のあれやこれやにおいて肉体性の欠如、ひいては男性性の脆弱さを連想させるようなのです。単に泥酔した僕がドヤ顔で自分の専門分野について語っていたりするのならば仕方ないのですが、尋ねられるがままに職種を答えただけでなんだかドン引きされてしまった経験が何度かあり、それ以降は親しくなるまでこの手の話題を避けるようになりました。
しかし!僕が主張したいのはこんなことでもない。アニメなんです。ぼくは大学生以来深夜アニメを鑑賞することを趣味の1つとしており、今期においても一応15作品程度の視聴を継続しております。残業中なんてサブモニタでアニメ見ながら仕事しちゃうかんじです。でもこの話、僕の話術の問題もありますけれど、まあ受けが悪い。この件についてカミングアウトすると「え、ってことはキモオタなの?気持ちわるーい」となるんです。偏見よくない。なのでなかなか言い出すことができず、自室にお相手をお招きする際もBlu-ray BOXの収納は怠りませんし、注目作品の激アツ展開について懇切丁寧に説明申し上げることもできないわけです。それこそ先日の京都アニメーションの放火事件にしたって、第一報の時点で「うわー大変だ!」と思っていたのですけれど、LINE等のやり取りで話題にするのをグッと堪えたものでした。
それにしても、どうしてアニメというのはなかなか理解が得られないのでしょうか。そりゃあ「幼女が出てくるだけで中身のない萌えアニメ」を見てフガフガと興奮しているノンケ男性についてああだこうだ言うのはまだ納得できるとして(偏見)、ゲイであるところの僕がアニメを見ているのとはだいぶ話が違うじゃない!そりゃあBLものも最近は多いけどさ...映画とか海外ドラマなら許されているところを見るに、先ほどのような肉体と知性の対立によって説明できる類のものでもなさそうです。単に子供っぽいものとして語られることが多いからでしょうか?
ちなみに、ゲイ・ノンケに関係なく僕のアニメ好きを知っている方々には、その良さを理解していただく助けとして、いくつか作品を紹介することもあります。その人のキャラクターに合わせてアレンジするのですが、お勧めするのは大抵以下の3作品。アニメ入門にぴったりの、問答無用の名作でございます。
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宇宙のゴミ・デブリの回収を生業にする主人公を中心に描く宇宙群像劇。最終回で泣かないやつを見たことがない。
京都の大学を舞台にした独特な空気感を纏うファンタジー。原作へのリスペクトとその昇華の具合がほとんど奇跡的。
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アニメ制作の現場を扱ったいわゆるお仕事もの。働いていれば共感するところ大。後半のカタルシスが素晴らしい。
まあそんなわけで、いつかこの作品たちを視聴することによってアニメの良さを解するようになった佐藤浩市ないし内野聖陽に限りなくそっくりな男性が目の前に現れ、マーク・ダーシーのごとく「大好きだよ、アニメを愛するありのままの君が」と囁きつつ僕を抱きとめてくれるのをお待ち申し上げております。ウケも可能であれば更に喜びますのでどうぞよろしく。