巨人の肩に立ちたいゲイ

30代ゲイのブログ。ゲイとしての考えたことをアウトプットしたり整理したりするような場にできればと思っております。やまとなでしこの頃の堤真一が好きです。

偶然は構えのある心にしか恵まれない

自然科学の分野ではセレンディピティserendipity)という言葉で説明される、所謂幸運な発見というのがあります。

 

"Dans les champs de l'observation le hasard ne favorise que les esprits préparés."

(観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない)

 

ルイ・パスツール

 

よく実験の失敗から偶然にも新しい物質を発見したとかいう逸話を耳にしたりしますが、要はあれのことです。で、パスツール大先生はそのような幸運に対して、「十分な背景知識と失敗からも何かを見つけ出そうとする貪欲な姿勢」が前提条件であるといっているわけです(少なくとも僕はそう解釈しています)。勿論、これは研究を生業としている僕自身とても重要な視点だと思っているのですが、それ以上に恋愛において欠かせない考え方だと信じております。

 

予期しない偶然で幸運で奇跡的で運命的な出会いを所望するというのは、年齢や性別、時代を超越した普遍的なものなのではないかと思います。自然な出会い、というやつですよね。でもそんなのは現実にはとても難しい。ましてやゲイにとって、たまたま好意を寄せた相手がゲイで、しかも相手も自分に好意を寄せており、向こうから告白してきてくれたからそのまま付き合えちゃった!みたいなのは事実上不可能です。でも、見聞きするところによるとノンケに恋するゲイというのはいつの時代にもいるようで、いつまでたっても先方からアクションがないもんだから、さんざん悩んだ挙句告白したものの当然の帰結として撃沈ということになるわけです。すみません、偏見です。

 

さて、個人が誰に恋し誰に告白しようがそんなのは自由です。でも、そのような非生産的な思いにとらわれて精神を消耗するくらいなら、さっさと有益で具体的な行動を起こしたらよいのに、とも思います。百歩譲ってノンケのイケメンであれば。そりゃあ自然な流れで女どもからアプローチもあるでしょうし、その中からバチコーンとくる女性がいれば付き合えばいいのかもしれません。ところが。

 

僕の友人に、ほぼ全ての女性が認めるイケメンがいます。ノンケです。読者モデル的なものもしていたことがあり、今は一流企業のサラリーマンです。とてつもなく、清々しいほどモテます。合コンにこいつがいると、話になりません。そんな彼ですが、出会いにはとても積極的です。シチュエーションに関係なくとにかく女の子には優しいし、合コンだけでなく近頃は相席屋にもはまっているようです。大抵お持ち帰りです。彼曰く、黙っていても寄ってくる女の子は玉石混合で効率が悪いから、片っ端から可愛い子にアプローチしてその中から探すほうがコスパがいい、のだそうで。彼のたどり着いた戦略から得られる示唆は、「結局のところ、外見に関係なく受け身でいるのは非効率」ということだと思うのです。

 

翻ってゲイのことを考えてみましょう。ゲイというのは周囲のゲイにゲイであることが知られていない限り、恋愛市場に登場することさえできません。それはカミングアウトでもいいしアプリに登録するのでもいいし、ゲイバーやサークルに顔を出すというのでもいいわけですが、何らかのアクションが必須です。そこまでしてやっとスタートラインに立っただけ。効率的に、というか現実的な落としどころとして、もう一段踏み込んだ意思表示が求められるわけです。

 

そもそも出会いといったって、ノンケでさえ社会人になって以降は意識して市場に出向かないといけないわけで、もはや意図しない「自然な」出会いは無理です。というか、なんとなく純粋で「自然な」イメージのある学生の時分だって、結局はクラスメイトとか部活の仲間だとか、ものすごく限定された人間関係の中で選んでるだけであって、制限された選択肢がこの世のすべてだと勘違いして勝手に運命的で奇跡的な何かを感じてるだけです。気のせい。スピリチュアルなあれです。

 

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別にガチムチのおじさまじゃなくて、伊藤英明とかでも可。男前すぎて現実味がない。

 

セレンディピティに話を戻しますけど、結局は出会いに対して貪欲な姿勢を忘れず、試行回数を稼ぐ、相手のポジティブな面を探す、ということで初めて成功体験が得られるのではないかな、と思うわけです。待子で、いつか白馬に乗った短髪ガチムチ髭のイケメンなおじさまが、自分にぴったりなサイズのケツワレを携えて迎えに来てくれると妄想するのは愚かというかほとんど悪です。準備のないものに幸運は訪れないのです。悲しいけどこれが現実なのです...まあ僕のことですけれど。精進しなければと思う今日この頃です。