巨人の肩に立ちたいゲイ

30代ゲイのブログ。ゲイとしての考えたことをアウトプットしたり整理したりするような場にできればと思っております。やまとなでしこの頃の堤真一が好きです。

はじめて掘られた時の話

もうだいぶ前の話なのですが,僕はアプリでマッチした方と待ち合わせをしていました.新宿三丁目,伊勢丹のある交差点で,ヴィトンの店の前が指定の場所.以降,様々な人とここで待ち合わせることになるのですが,その時は初めての体験だったため,到着するや否や「ゲイ多すぎね?」などと思ったものでした.二丁目にも近いしわかりやすい場所ですが,それにしたってヒゲ・ヒゲ・ヒゲ.僕のお相手は40代の男性,割と強面で坊主に近い短髪,かなりマッチョ.そしてもちろんヒゲ.その日は初夏の陽気で気温も高かったからか,黒いタンクトップにリネンのシャツを羽織ったような出で立ちでした.ちなみにタンクトップの肩紐は細いタイプです.マッチョが筋肉を強調するときのあれ.

 

早速店に移動し酒を飲みながら自己紹介.その場では浅い話題に終止しつつもそれなりに話も盛り上がり,次も会ってみることになりました.社会人になったばかりの20代半ば,アプリを通してゲイと会うようになってからまだ間もない時期です.好きかどうかよりも,とにかくヤりたい.マッチョで男っぽい見た目であればいい.発展場は怖いけれど.そんなこんなで,先方から行ってみたい温泉があるとの提案があり,翌週の週末には新宿駅に集合していました.いきなり日帰り旅行だなんてちょっと大胆.ゲイが温泉に赴くとなれば多少のエロ要素はお約束の範疇でしょう.断る理由などありません!

 

中央線に乗っていざ相模湖へ.いきなり温泉という感じでもなかったのでとりあえずは湖畔まで降りていきます.それなりに行楽シーズンではあったはずですが,そこまで人でごった返しているという感じでもなく,控えめな人出.早速手持ち無沙汰になってしまい,じゃあボートにでも乗ってみましょうかということになりました.正直20代と40代というよくわからない男性2人組がボート(しかも足漕ぎのスワンボート)を借りるというのも不思議を通り越して不気味というか,普通に考えてゲイカップル以外の何者でもないのですが,まあそこは目をつぶりましょう.久しぶりのボートではありましたから,それはそれで暇つぶしになるかなという気持ちです.

 

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スワンボートだと2人で隣同士に座れますね

 

いざ漕ぎ出してみると,男性2人で回すペダルは大層な勢いでして,船着き場からグングンと離れていきます.相模湖畔の自然と水音は心地よく,風を切って進むボートは爽快でした.しばらく漕いでまわりのボートが見当たらなくなったところで,相手が僕の首筋に顔を寄せてきました.曰く,うなじの匂いをかぐのが好きとのこと.正直な申告に「はあ,そうですか」とうなずいていると,そのまま服の中に手を入れられて乳首を触るなどしてきました.野外でハッテン行為に及ぶ人の話などは知識として知ってはいましたけれど,誰が見ているかわからない,でも多分誰も見ていない,という宙ぶらりんな緊張感は,当時の僕にとってなかなか刺激的なものでした.もちろん,服の中に手を突っ込んだりキスをしたりというところまで.いくら性欲に流されようと,ボートの上で激しい行為に及ぶ度胸はありません.転覆とかしたら嫌だし.一通りいちゃついたところで,時計を確認するとボートの返却まで残りわずか.全力でペダルを漕いで船着き場に戻りました笑

 

その後目的の温泉へ.こちらは特に思い出などないのですが,相手の現在の身体つきを確認するなど.まあタンクトップの上から確認済みではありましたが.帰りの電車ではボックス席でちょっと手をつないだりされ,なんとなく愛情表現みたいなものが新鮮だったり.

 

それから程なくして,今度は家に招待されることになりました.住まいは千葉寄り都内のマンションで2LDKの間取り.玄関脇の1部屋に筋トレ用のベンチが設置してあるのが見え,筋トレに囚われた生活の一端が伺えます.整理整頓の行き届いた部屋で出された麦茶をすすりながらソファーでテレビを見ていたところで,案の定いい雰囲気になり必然的にイチャつくわけです.すると彼はカーテンを閉め,僕らは土曜の昼下がりにセックスをすることになりました.カーテンの隙間から除く日光が生活感を演出しており,僕はさして詳しくもないのに「団地妻はこんな雰囲気でエッチをするのかしらん」と考えていました.

 

行為が進むなかで,彼が僕のアナルに興味を示しているのは明白でした.その時点でバックの経験はなかったものの,若干練習したことなどはあったので,これはとうとう訓練の成果を試す時が来たのではないか?という結論に至りました.マッチョだけど,そこまで大きなモノでもなかったですし.そうして,経験に乏しいことを伝えつつ,初めてのバックを体験することに.ローションを使ってゆっくりほぐしていくと,なんやかんやでうまいこと挿入に成功.僕がガバガバだったとは信じたくありませんので,きっと相手方の熟練のスキルによるものでしょう.ゴムの無機質な質感を感じつつ,でも確かに人肌以上の熱も感じます.あとやっぱり大人のおもちゃと違って柔らかいんですよね.

 

とは言え.初体験ですし気持ち良いというものでもなく,圧迫感と居心地の悪さばかり感じます.もちろん興奮と若さで割と勃起はしていたはずなんですけれど.馴染んできたところでだんだんと行為も激しくなり,最後はバックで僕がいって,その後で彼はゴムを取って僕の背中に果てました.なんだか一連の行為がAVの1セッションみたい.結局僕らはエロ動画に囚われてしまっているのかもしれません.ぬるっとした暖かい液体を背中に感じつつ,やっと終わったという安心感,セックスにおけるひとつの到達点に手が届いたという達成感がありました.一方で,案外できるもんだなという醒めた気持ちを抱いていたように思います.

 

以降,彼の車で何度か出かけたりもしました.ぶっちゃけ,付き合いたいという気持ちはなく,心地の良いセフレとしての関係で満足していた部分がありました.実のところ彼には若干気になる点があったのです.初体験以来2回目にお宅にお邪魔した際,掃除をして欲しいと言われていたのでした.上がりこんでいる手前,食事の後に家主に替わって簡単な洗い物をするとかいうシチュエーションはまあ全然アリなんですけど,着いてそうそう掃除機をかけるってのはちょっとトリッキーだなと.その後の様子も伺っているとどうやら,彼は若い子に家事をしてもらうのが好きなようでした.加えていいかんじになってソファーの上でじゃれ合っている時に,「ウケのくせに生意気だ」というようなこともよく言っていた気がするのです.その場では特に気に留めるようなことでもなかったものの,無意識的にストレートな「男女」の役割分担を望んでいると思わせる言動でした.

 

彼は20代後半まで女性と付き合っていたと言っていて,確かに男らしい(どこかノンケっぽい)部分があったのは確かでした.しかしそれにより,結婚であるとか,男は仕事,女は家事というような古風な固定的性別役割分担意識が彼に強く刷り込まれているようなのです.よく片付けられたリビングやキッチンの印象からして彼自身の家事スキルはそれなりに高いことが伺え,自己矛盾を孕んではいましたけれど.「囚われてんな~」とは思ったものの,別にそれ自体すごくネガティブというわけではなかった気がします.ただ,身体つきもよく,決してブサイクではない(かと言って男前と言うほどでもない)彼がこの年まで独り身でいることとは無関係ではないだろうな,とも感じられました.これは余計なお節介というやつですね.

 

その後,彼の方から付き合わないかという打診があり,僕はそこまで真剣にはなれないなと考えて回答を保留しました.数日空いてこちらから連絡を取ろうとした時には,既にLINEをブロックされていることが判明.彼の「男=タチ」としてのプライドを傷つけたかもしれないと考えました.しかし,別にこちらに断る自由はあるはずだし,それでブロックというのは少し女々しいのではないか?という思いも.確かに,社会に埋め込まれた役割分担を共有できる2人なら,タチが働いてウケが家事をやってみたいなのも良いでしょう.本人たちの自由です.しかしゲイのカップルともなれば,結婚や育児といった社会的な視線に晒される強い結びつきや制約も無いので,互いが働いて家事も分担すればいいと思う.タチ・ウケに関係なく,互いが互いのために稼げばいいし,時には支え合えばいい.別れた時にも困らないよう,互いに自立した経済力を確保しておくのはゲイに限らずストレートの夫婦間においてだって最重要事項だと思っています.

 

まあそんなわけで,あまりよろしくない終わり方?をしたわけですけど,僕が処女を捧げたのは彼なわけです.どうしたって思い出深いですし,痔持ちになることなくここまでリバとしてやってこれたことをちょっと感謝してもいます.甲斐甲斐しく家事に取り組んでくれる若いウケを手篭めにして,幸せな年末を過ごすことを願ってやみません.

 

ちなみに僕は,僕より経済力がある年上・マッチョ・男前なウケの男性を募集中です.経済力があれば掃除はルンバだし,洗い物も食洗機だし,服だって洗濯乾燥機でしょうから,家事をするっていったってたかが知れていますよね.外食メインになるかもしれませんが,たまには食事くらい作って差し上げます!最近の自動調理器はとても優秀なことですし.