巨人の肩に立ちたいゲイ

30代ゲイのブログ。ゲイとしての考えたことをアウトプットしたり整理したりするような場にできればと思っております。やまとなでしこの頃の堤真一が好きです。

初めてのハッテン場は新宿24会館でした(1)

社会人になって2回目の正月.前職で末期的なストレス環境下にあった僕はどういうわけか新宿2丁目に来ていました.クラブやゲイバーに行くということではなく,目的地は唯一つ,24会館.酒を飲みたいわけではない,代わり映えのしない毎日に多少の刺激が欲しい.その刺激はできれば気持ちの良いものだと嬉しい.そんな気分だったんじゃないかと今は思うのですが,当時は本当にただふらっと24会館に足が向かっていました.これが僕の初めてのハッテン場体験となりました.

 

新宿自体は学生時代から行動範囲内ではありましたので,好奇心から何度か歩いてみたこともありましたし,その際に新宿24会館の場所はなんとなく把握していました.漆黒の建物の前に到着したのは夜の11時を過ぎた頃.世間はこたつでみかんでもつまみながら正月特番を見ているであろう時分にハッテンしようなんて,そんな意識が高いんだか低いんだかわからないような男たちが行列を作っていました.こんなに並んで頭おかしいんじゃないの?とも思いましたが自分もその一人なのです.まあ正月に109やラフォーレのセールに行列する女子高生と似たようなものでしょうかね.DNAレベルでそう行動するようにコーディングされているのです.ゲイの遺伝子には抗えません.

 

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こんな立地で全館まるまるハッテン場.しかも2003年開業で案外新しい.

 

最早昔のこと過ぎて記憶も曖昧ではあるのですが,まずもって入場料が3000円近いことに驚愕.世のハッテン場は20代であれば確実に1000円台でしょうが,設備の維持費や人件費を思えば納得といったところでしょうか.更には受付で台帳に名前の記入を求められました.え?名前?これも後から知ったことですが,24会館は宿泊施設としての届け出をしているとかなんとかで,手続き上宿泊台帳を作成する必要があるようでした.一瞬たじろいだ後,本名と一文字違いの名字を記入しました.

 

ロッカールームへ移動し服を脱いでみるものの,ガウンを着るべきなのかタオルを巻くべきなのか,ガウンならば下着は?タオル派にしてもバスタオルとフェイスタオルどちらが正解?まったくわからない!ガウンはなんかサイズも大きいしエロさが致命的に不足しているけど,かといって館内をタオルで徘徊するのは肌寒そう.しかも人様にお見せできるような身体でもないし.仕方がないので様子見していると,スマホをチェックしにロッカーへ降りてくる人の多くはガウンを羽織っており,下着もつけている模様.ただし帯はつけない.なにやら中途半端な姿とは思いつつ,郷に入っては郷に従えと言いますので,まずは先人に倣ってガウンを羽織り館内探検を決行しました.

 

2Fの受付から急な階段を上がると3Fが風呂サウナ,4Fは二段ベッド主体の大部屋+小部屋,5階は個室+小部屋といったところ.感想としては,まず臭い.オナニーしたティッシュをゴミ箱に溜めっぱなしにしたときの,あの生臭さ.館内全ての内装・リネン類にこびりついているのではないか?と絶望するほどに強固な臭いに驚きました.そして暗い.廊下はまだマシですが,大部屋や小部屋に入ると本当に暗闇.顔の判別どころか人が寝ているかどうかさえ目がなれるまでは判別困難な程です.こんなところでどうやってエッチの意思決定をしろというのか?

 

ハッテン場の現実を知った僕は,この臭いと暗さから逃れる目的で風呂を目指しました.やっぱり流水があるところは多少清潔でしょうし,覗いてみた限り普通の銭湯のように見えました.無言で服を脱ぎ洗い場へ.上階と異なり人は少なく先客は2人です.なるべく距離を取るように浴室に浸かると,明らかに普通の銭湯とはレベルの違う塩素の臭気を感じ,その殺菌作用になぜだか感謝したくなりました.ここだけは安全地帯かもしれない.しかし一方で不安もあります.明らかにお湯の温度が低く,温水プールに毛が生えたような程度.理由はハッテン銭湯での経験より明らかで,長時間入浴を可能にするその温度はこの浴槽でどのような行為が行われ得るのかを容易に連想させました.そんなことを思いながらキョロキョロしていると,洗い場の奥に暖簾のかかった出入り口があり,時たま人の出入りがあるようです.その奥がどうやらサウナスペースのようですが,上階と同じく照明が絞られている模様.さて,どうするか.

 

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そんなことを考えていると突然,足に何かの感触が.ビクッとしてそちらを見ると,先程まで浴槽の反対側にいた白髪の60代後半と思しきおじいちゃんが僕の足の小指をツンツンしているではないですか.これはもうハッテン銭湯で経験済みですが,なにせお相手がおそらくは前期高齢者とお見受けする方.無下にはできない,しかしどうにもできない.止む無く頭を下げ退散します.向かう先はもちろん暖簾の奥!

 

トンネルを抜けると...と書いたのは川端康成でしたが,そこにあったのは雪国ではなく薄暗いシャワールームでした.しかもブースを仕切るボードには穴が空いているし,シャワ浣専用と思しき剥き出しのトイレも設置されているしで,まさにハッテンするための機能に特化した空間.どこか迷路のようでもある.大人だ...ここは大人のゲイが来るところだ...!ハッテン銭湯とはまるで異なる世界観に衝撃を受けます.しかしここにも人はおらず,皆更に奥のサウナスペースに吸い込まれていく.ぜひともこの目に焼き付けなくては.

 

更に進むと照明は一層暗くなり,視界もなんだか曇っている.通路には腕組みした人が複数人壁に寄りかかっており,こちらを物色しているようです.明らかに体格の良い人が多い.すれ違うたびに身体が触れ合いそうになったり,場合によっては触られたりする.なんかすごい!行き着いた先はどうやらミストサウナというやつだったようで,裸でも寒くない程度の温度環境.数人が佇んでいますが顔はわかりませんでした.しばらく様子を見ているとそのうちの2人がくっついたようなのですが,ギャラリーが次々と手を出して瞬く間に4~5人のうごめく黒い塊に成り果てていました.大人って怖い.なんだか複数でやっている様は見ていて心躍るものでもなかったので離れてしまいました.いつかは僕もあんな事を楽しめるようになるのかな?そんなことを考えながら探索に戻ろうとしていると...

 

通路で腕組をしていた1人から突然ガバッと抱きとめられました.往路でも触られた人だった気もしますが定かではありません.動揺しつつ相手を一瞥.沖縄っぽい若干濃いめの顔立ちで,胸毛の生えているそれなりに引き締まった身体のお兄さん.30代前半くらいに見える.「しゃぶっていい?」と聞かれて,こちらの反応を待たずに僕の腰を抱えてチンコを口に含んでしまいました.発展場において無言は首肯と同義なのでしょうか,だとすると僕の落ち度です.しばらくされるがままにしていたのですが,顔はあまり好みではなく,舌使いもそこまで気持ちの良いものではなかったためなかなか勃起しません.元気のない我が息子に気づき,彼は立ち上がって「もう出しちゃった?」と尋ねました.とりあえず頷く僕.すると「残念,タイプだったんだけどな」と笑って開放してくれました.ハッテン場にも一期一会の礼節あり.お兄さんもなんとなくこちらの気持ちを察していたような気もしますが,そこはお互い大人の男です.

 

しかし,既に射精後という設定の僕がこのままサウナスペースを徘徊するのは信義にもとるように思えました.まだ未開拓の空間があるようですが一旦仕切り直し,暖簾をくぐって明るい浴場へと戻ります.先程,足の指ツンツンでアプローチしていただいた白髪のおじいさんの姿はもうありませんでした.既に帰ったのか,誰かとしっぽりいちゃついているのか,はたまた次の狩場を求めて建物をさまよっているのか.時間は0時をまわったばかり.僕の夜はこれからです.

 

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