巨人の肩に立ちたいゲイ

30代ゲイのブログ。ゲイとしての考えたことをアウトプットしたり整理したりするような場にできればと思っております。やまとなでしこの頃の堤真一が好きです。

初めてのハッテン場は新宿24会館でした(3)

昨日までの続き.

 

shouldersofgiants.hateblo.jp

 

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大部屋での5P未遂で緊張の糸が切れた僕は,どこか安全に眠れる場所を探し彷徨うことにしました.ベストはソファーのある2Fの休憩室なのですが,降りてみるとそこかしこでおしゃぶりが敢行されています.そしてそもそも,空いている席などひとつもありませんでした.続いて4F.横になれるスペースがないことは先程のことで身にしみていますし,何れにせよ中に入る気分は起きません.5Fに上がりブラックライトルームと小部屋を覗きますが,やはり同じ.どうやら24会館は正月早々超満員のようです.既に終電はなくなっていますが,実家まで遠いわけでもありません.別に帰ってもよいわけです.しかし.僕はまだ諦めたわけではありませんでした.3000円支払って何もしないのでは男が廃る.これだけのゲイが一同に会しているのに射精一つせずに退店するなど考えられません.確かに今は疲れていますが,少し休めば回復するでしょう.朝になったら仕切り直しです.

 

そんなことを考えながら2Fから5Fを行ったり来たりしていると,段々と身体が冷えてきます.ハッテン場はハッテン行為を前提とした温度設定に違いありませんから,ハッテン行為をせず寝床を探して徘徊する僕が寒さに耐え忍ばなければならないのは当然の報いでしょう.ガウンを着用せずタオルのみというスタイルは,単純に己の肉体を見せつけんとする歪んだ自己顕示欲の発露と考えていましたが,その実ハッテン行為を済ませて体が温まっていることを意味し,自らの需要を誇示しているようにも思えてきました.悔しい,しかし寒い.そうこうしているうちに時計は2時半に差し掛かり,ようやく5Fの小部屋にスペースが見つかりました.ここぞとばかりに寝転がり,落ちている毛布に身を包みます.何らかの体液が染み込んでいる可能性も考慮しましたが,年初からハッテン場で風邪を引くなど幸先が悪いにもほどがあるでしょう.

 

さて,とにかく眠い.隣にガッチリめの人がうつ伏せで寝ていましたが,僕が入ってきても微動だにしませんでしたから興味がない模様.流石にこの時間になると24会館も大人しくなるようです.これでゆっくりできるぞ,いかんせんずっと立っていたからくたびれた.などと思っていると...「シャッ」という音がして小部屋の入り口のカーテンがめくられます.廊下の光が部屋の中に入って眩しい.ったく,こんな夜中に迷惑行為はやめていただきたい.そう思って入口の方を見ると...雰囲気から恐らく60前後と思われる男性と目があいました.実際にはほんの1~2秒のことで,しかもその男性は逆光の中にいましたから影だけが見えていたのですが,それでも目があったということはわかりました.彼はカーテンをめくりあげ,しかもそれをなかなかもとに戻そうとしません.どうやら部屋の様子を伺っているようです.

 

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そう,まさにコナンの犯人

 

しばらくすると男性はカーテンを戻し,僕の隣でうつ伏せになっているガッチリの横にしゃがみます.そして今度は「パカッ」という音がし,ガラケーで彼の顔を照らしはじめたではありませんか.まさに欲望おもむくまま.遠い昔の夏休みの記憶,深夜に雑木林に出かけていって,樹液の滲み出ているクヌギの木を懐中電灯で照らしカブトムシを探した小学生時代を思い出しました.メスははずれ.オスならあたり!

 

男性はどうやらガッチリの顔が気に入ったらしく,彼の剥き出しになったお尻を触ろうと手を伸ばしています.アグレッシブ.ってか,となりのガッチリはケツ出してるんですね.毛布をかけていると思ったら下半身は出しっぱなし,これぞまさに典型的な寝待ちのテクニック.どうなるのか横目で見ていると...「ペチンッ」小気味よい破裂音が室内に響きます.ガチムチが自らのケツに伸びた男性の手をはたいたのです.100人を越える男たちがが裸でうろつくこの空間において,その「ペチンッ」はいささか間が抜けており,男らしいガチムチな身体の動作の結果としては不釣り合いなフェミニンさを醸し出しておりました.

 

男性はビクッとして手を引っ込めましたが,このような対応には慣れっこなのでしょうか,特にうろたえる様子もありません.そのまま立ち上がると今度は僕の足元にしゃがみ込み,今度はガラケーによる顔チェックを省略して毛布に手を突っ込んできました.怖い!しかし大部屋のように力強くアナルに指を突き立てるようなノリでもありません.からだをよじって拒否の意思表示をするとあっさりと退散.聞き分けはいいようです.

 

その後,朝になるまで10分間隔で「シャッ」「パカッ」「ペチンッ」が繰り返されました.それは決まって50代を越えたちょっとお近づきになりたくないタイプの男性で,とりあえずガチムチのケツを触ろうとし,2回に1回のペースで僕にも手を伸ばして来ます.学びとしては,(1)入口側に顔を向けて寝ておけば「パカッ」は省略可能,(2)僕とガチムチの需要は2:1,(3)拒否すれば深追いはしてこない,といったところでしょうか.途中,小部屋の入口付近でネチャネチャと20代と思しき細身の若者が掘られ始めたのですが,その間は部屋に入ってくる人影はなく,大部屋と異なり最低限の秩序を感じました.もちろん,掘られている若者が鼻にかかった甲高い声で叫ぶものですから,どちらにせよこちらは寝ることなどできなかったのですが.

 

そんなこんなで結局まともに睡眠は取れず,6時頃にはとうとう我慢の限界を迎えました.帰りたい.ろくなものではなかったとはいえ,7時間に及ぶ滞在経験は恐らく3000円分の価値があるはずだと自分を納得させます.この冷えた身体を風呂で温めて,さっさと家に帰りたい.ロッカーに戻り生乾きのタオル一式を持って3Fに上がります.昨晩よりも少し混み合っている洗い場で身体を流し浴槽へ.相変わらず水温は微妙.このまま帰っても良かったのですが,ふとサウナスペースの未開拓ゾーンのことを思い出しました.確か高温サウナと低温サウナがあったような.この冷えた身体には高温サウナという名の太陽がどうしても必要に思えました.果たしてその意思決定に下心が介在しなかったかと言われれば恐らくNOなのでしょうが,まあとにかく,僕は一直線に高温サウナを目指しました.

 

暖簾をくぐってシャワースペースを通り抜け,ミストサウナとは違う方向へ進むとそこには木製のベンチが備え付けられたサウナが.変わっているところといえば,少し入り組んだ形をしており,見通しを悪くする人為的な努力が感じられるところ.やはりここもハッテン場のようではありました.先客はおらず,じっと座っていると体が芯から温まっていきます.しばらくぼーっとしていると,長髪の若者が入ってきました.席は全て空いているのに僕のすぐ横に座ります.何度でもいいますがここはハッテン場です.これは僕にアプローチしようとしているに違いない.彼を観察すると,かなり長めのマッシュヘアとでも言うのでしょうか,身体ものっぺりとしていて特徴がなく,全体的に魅力を感じられません.前髪が長くてお顔もいまいちわからない.無しです.せめて髪はもう少し短くしたほうがいいかもね,そんな分かりきったアドバイスを心のなかでつぶやき僕はサウナを後にしました.

 

体温も戻ったし,いかんせん寝不足.しかしまだ僕にはミッションが残されていると感じていました.そう,低温サウナ.まだ足を踏み入れていない唯一の場所.ここまできたら入ってみるしかありません.長髪を残し確かな足取りで低温サウナの扉を開けました.そこはミストサウナよりは明るく,顔や身体がしっかりと確認できるスペース.高温サウナよりも温度はだいぶ低く設定されており長期滞在も可能.その恵まれた環境のせいか明らかに人が多く,その時点で6人ほどが壁にもたれかかっていました.入った瞬間に注がれる視線.目を伏せながら,腹筋に力を入れて虚勢を張りつつ僕も壁際に移動します.落ち着いてから周囲を見回すと,おじさんが4人,30代前後が2人.しばらくして高温サウナにおいてきた長髪もやってきて8人で例の硬直状態に.

 

昨夜の4F廊下と異なり,サウナでは全員がフェイスタオルを腰に巻いた状態のため体つきもよく分かります.おじさんのうち2人はかなり大きな大胸筋を持っており魅力的では在りましたが,いかんせん顔が好みではありません.なかなか上手くは行かないもんだな,でもまだ良い人が入ってくるかもしれないし.先程まで帰る気まんまんだった僕は,体温を取り戻したことで俄然気力を取り戻し,もう少し粘ることを決意していました.現金なものです.もう一度腹筋に力を入れ,やっぱり身体は鍛えておいたほうが得だよななどと思っていると...

 

サウナの扉が開き,30代に見える男性が入ってきました.分厚いというより,引き締まった筋肉質な体つき.股間からへそにつながる毛がセクシー.そして何より顔がかっこいい.伊原剛志を若くしたような感じ!整えられた顎髭もポイントが高いです.僕は呆気に取られて彼を見つめました.めっちゃイケメンだなー.そんなことを思っていると,彼は壁際をぐるっと見回した後,まっすぐ僕の方に向かって歩いてくるではありませんか.え?まじ??動揺しながらも,近づいてくる彼から目線を外せません.その様子は脳内にスローモーションで再生され,彼との距離が詰まるにについれて僕の息子が急速に硬さをもちはじめるのを感じました.そして次の瞬間,彼は僕の手を取り身体を引き寄せて来ました.

 

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すき.

 

僕に無言で微笑みかけ,僕は呆気にとられながらも頷くことしかできません.そのまま手を引かれサウナを後にします.出口を開ける瞬間,彼が腰に巻いていたタオルが解けて床に落ち,彼の息子もまた立派に固くなっているのが確かめられました.慌てて僕がタオルを拾って手渡すと,彼はいたずらっぽく笑ってそれを受け取りました.僕らはそのままシャワースペースへ移動し,彼は慣れた手付きで比較的広いブースのひとつに入ると扉を締めて鍵をかけます.そこから抱き合ってキス.「ケツはやれるの?」と尋ねられました.それまでに経験がなかったわけではありませんでしたが,最後にケツを使ったのは半年前でしたし,彼がゴムを持っているようにも見えなかったので咄嗟に首を横に振ります.彼はさして残念でもなさそうに「そっか,じゃあしごき合いしよう」と提案します.

 

もう一度キスをしてから,彼は僕を壁に押し付け,左手で僕の両腕を頭上に固定しました.そのまま空いた右手で僕の息子をしごきつつ,乳首,そのまま脇にも舌を這わせます.これがまたエロい.実はこの時,その刺激自体が気持ちよかったかどうかはあまり覚えていなくて,ただただ自分がバンザイをさせられているちょっと間抜けなその姿に名状しがたい感情を抱いていました.特に力を入れているわけではないのだけれど,それでも腕の自由を奪われつつされるがままという経験がごくごくソフトなSMプレイと言いますか.ウケとしての被虐的快感を初めて教えられた瞬間でした.考えてみると,タチのときには自然にやってたんですけどね.やられてみると新鮮でいいですよね.

 

そんなふうにして互いに互いの身体を貪り合い,最後はブース内のボディーソープを使ってフィニッシュ.暫し息を整えた後,もう一度キスをしました.いった後の気恥ずかしさを共有して自然と笑い合います.僕は賢者タイムがだいぶ強いほうなのですが,このときばかりは射精の幸福感が勝りました.僕らが致したのはハッテン場,しかもシャワーブースの中と来ていますから後始末は簡単.彼がこれまた勝手知ったるといった手付きで蛇口を捻ると頭上からレインシャワー.ボディーソープ+αを洗い流します.イチャイチャしながらすっきりすると,最後にもう一度ハグをしました.彼は僕の耳元で「ありがと!」と爽やかにつぶやきました.ありがとう,というのはもちろん感謝の意を示す言葉ですから,それまでセックスを愛情の延長線上に位置づけていた僕からすると少し違和感があり,しかし今この瞬間の心情を説明する完璧なワードのように思えました.

 

2人で脱衣所まで戻りましたが,そこでは他の客の目も在り喋ることはしませんでした.僕としては彼のことが気になっており,連絡先を交換してみたい,なんならこのまま外に出て朝飯でも,なんて妄想します.しかしここはハッテン場.ゲイが利己的に性欲を発散する掃き溜め.そんなところに初めて足を踏み入れた青二才が,一時的なテストステロンの分泌にほだされて一人の男性に執着するのは客観的に見てクールな振る舞いとは言えないでしょう.僕は未練をぐっとこらえ脱衣所を出ます.これがきっとハッテン場の流儀に違いありません.彼は洗面台で髪を整えていましたが,こちらに気づくと軽く手を上げ答えてくれました.ありがとう,また機会があることを願います.

 

そのままロッカーに戻ると身繕いをし,受付でキーを返すと外に出ました.正月の早朝,新宿二丁目の街は朝日に包まれています.吹き抜ける風は肌寒く,眠気で頭もスッキリしませんが,それでも心は満たされていました.あれから何人かと付き合い,セフレも作って,一応はゲイとしての経験値も積み上がったはずです.二丁目のバーにも何度か飲みに行く機会がありました.しかし,これ以降24会館には足を踏み入れてはいません.なんとなく,これから先この時よりも胸を熱くするような展開が想像できないというか,この思い出を上書きしたくないというか,そんなセンチメンタルな気持ち.

 

これを書きながら,あの時イチャイチャしながらお兄さんとした会話の断片を思い出しました.僕が24歳で,確か彼は32歳だと言っていました.当時なんてかっこいいんだろうと思った,大人っぽく感じたお兄さんは,既に現在の僕より年下になっています.ハッテン場通いはまだ続いているのでしょうか.きっと僕のことなど彼のありふれたハッテンの風景の一つとして忘れ去られているのでしょうが,とびきりの思い出をプレゼントしてくれた彼には感謝しかありません.いつか僕も,誰かに.

 

でもなー僕は年上好きだから,ずっと与えられる側でいいや.